「うちは財産が少ないから大丈夫」
そう思っていても、相続トラブルは決して珍しいものではありません。
実際、争いの多くは遺産総額がそれほど大きくない家庭で起きています。
家族が揉めないためには、「法的に有効な遺言書」を書くことに加えて、「感情面への配慮」が不可欠です。
本記事では、家族が争わないための遺言書の書き方を、実務視点でわかりやすく解説します。
目次
なぜ遺言書があっても家族は揉めるのか?
遺言書があれば安心、というわけではありません。トラブルの原因は主に次の3つです。
- 内容が曖昧で解釈が分かれる
- 特定の相続人に偏りすぎている
- 理由の説明がなく不満が残る
つまり、「形式」だけでなく「納得感」が重要なのです。
家族が揉めないための遺言書の書き方7つのポイント
① 法的に有効な方式で作成する
遺言書が無効になれば、すべてが台無しになります。
代表的な方式は次の3つです。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
中でも、トラブル防止の観点から最も安全性が高いのは、公正証書遺言です。
公証人が作成し、原本が公証役場に保管されるため、偽造や紛失のリスクがありません。
② 財産を具体的に特定する
例えば、「長男に自宅を相続させる」だけでは不十分な場合があります。
不動産は登記事項証明書通り、預貯金は「〇〇銀行△△支店 普通預金 口座番号1234567」のように明確に書くことが重要です。
③ 遺留分に配慮する
法定相続人(兄弟姉妹を除く)には最低限保障された取り分があります。
これを侵害すると、後に「遺留分侵害額請求」が起こる可能性があります。
例えば、長男にすべて相続させる内容にした場合、他の子どもが請求すれば金銭での支払い義務が生じます。
揉めないためには、
- 生前贈与を含めたバランスを考える
- 遺留分相当額を確保する
- 生命保険を活用する(基本的には生命保険金は遺留分の対象外)
といった設計が重要です。
④ 付言事項で「想い」を伝える
法律的効力はありませんが、極めて重要なのが「付言事項」です。
例えば、
「家族が仲良く暮らしてほしい」「なぜこの分け方にしたのか」
理由が書かれているだけで、相続人の受け止め方は大きく変わります。
特に、
- 介護をしてくれた子に多めに渡す
- 事業承継のために長男へ集中させる
などの場合は、必ず理由を書きましょう。
⑤ 遺言執行者を指定する
遺言執行者とは、相続が起きてから遺言内容を実現する人です。
具体的には、預金の解約や不動産の名義変更などの相続手続き、遺産の管理などです。
指定がないと相続人全員の協力が必要になり、手続きが止まることがあります。
信頼できる人や専門家を指定することで、スムーズな相続手続きが可能になります。
⑥ 定期的に見直す
遺言書は一度書いたら終わりではありません。
- 財産の増減
- 家族関係の変化
- 気持ちの変化
があれば、内容の修正が必要です。
少なくとも5年に1度は見直すことをおすすめします。
⑦ 専門家のチェックを受ける
形式ミスや法的リスクは、専門家でなければ気づきにくいものです。
- 不動産が複数ある
- 再婚家庭である
- 事業承継が絡む
場合などは、必ず事前相談をしましょう。
遺言書がある家庭とない家庭の違い
遺言書があると、
- 遺産分割協議が不要
- 手続きがスムーズ
- 争いの予防につながる
- 相続人同士で揉めていても、相続が進められる
一方、ない場合は相続人全員の合意が必要となり、感情的対立が表面化してしまうこともあります。
円満相続のカギは「生前準備」です。
まとめ|揉めない相続は“思いやり設計”で決まる
家族が揉めないための遺言書には、次の要素が欠かせません。
- 法的に有効な方式
- 明確で具体的な記載
- 遺留分への配慮
- 付言事項による想いの共有
- 遺言執行者の指定
- 定期的な見直し
- 専門家の関与
遺言書は「財産の分配表」という面と、「家族への最後のメッセージ」という面があります。
ドライの部分とウェットの部分を両方盛り込めると伝わりやすくなります。
争いを防ぐ最大のポイントは、「公平」ではなく「納得」です。
円満な相続のために、今から準備を始めてみてはいかがでしょうか。


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