相続人はだれ?何割もらえる?遺産分けのルール・流れを解説

相続

この記事では、

  • 相続の時は誰が何割もらえるの?
  • 法定相続分って?その通りに分けなきゃいけないの?
  • 遺言があったら絶対従わなきゃいけないの?
  • 遺言を書く前に気をつけることは?

といった疑問について解説します!

結論:話し合いで決まったことが優先!

相続人(相続する権利のある人)全員で、遺産の分け方を話し合うことを「遺産分割協議」といいます。

全員が合意すれば分け方は自由であり、そして遺言よりも優先します。

死亡した本人の遺志より、もらう人たち全員の合意の方が重視されています。

その後その遺産を使ったり、管理していくのはもらう人たちですからね。

遺言でいらないものを押し付けられる!ということがないよう配慮されています。

ただし、これはあくまで全員で合意できた場合です!

遺産分割協議のやり方は人それぞれ(専門家への相談がオススメ)

実際の遺産分割協議の行われ方は人それぞれです。

特にモメる要素もなく、すぐに終わる場合は、全員への確認程度で簡単に済ませる方もよくいらっしゃいます。

ちゃんとしたい!という方は、法事、お盆、年末年始など全員が集まった場で行われています。

さらに、専門家の意見も聞いて考えたい!という方もいらっしゃいます。

これはオススメです!

やはり、一生に何度もないことで、しかも人それぞれ状況が違いますから、専門家を頼るところだと思います。

誰が何を相続するか?によって、将来の税金が変わることもあります。

私の所属事務所でも、会議室をお貸しして協議していただくこともよくありますよ。

その後を左右することなので、是非ためらわずに相談しましょう!

遺産分割協議書は必要な分だけ作るのが一般的

トラブル防止のためにも作成をオススメはしますが、必ずしも必要ではありません。

作らない方の方が多いかもしれませんね。

手続きで必要になったら、必要な分だけ作るという方がほとんどです。

手続き提出先専門家備考
預金解約金融機関行政書士ほか(※)提出が必要かは金融機関による。
その金融機関の口座のみを記載。
自分でも作成可。
不動産登記法務局司法書士不動産がある方は必須。
不動産のみを記載。
頑張れば自分でもできますが、司法書士に頼む方が多数。
相続税申告税務署税理士相続税申告が必要な方は作成し、
すべての遺産を記載。
自分で申告書を作るのはかなり大変なので、
税理士に頼む方がほとんど。

手続きを専門家に頼めば、遺産分割協議書も作ってもらえるので、説明を受けて署名捺印をするだけで済みます。

(※)登記を司法書士に頼む方は、預金解約などの他の手続きにも対応してくれる先生を選びましょう。

預金解約は行政書士、登記は司法書士と複数に頼むのはもったいないです。

全員集まれなくてもOK

遺産分割協議は、全員で行う必要がありますが、必ずしも集まる必要はありません

重要なのは、全員が内容に合意しているかどうか?です。

遠方の方には電話などで合意を取り、遺産分割協議書を作る場合は郵送で行います。

相続人と相続割合の一覧表

法定相続人(相続する権利がある人)と法定相続分(相続する割合の目安)は下表の通りです。

第一順位法定相続人配偶者
法定相続分1/21/2(÷人数)
第一順位が
いない場合…

第二順位
法定相続人配偶者
法定相続分2/31/3(÷人数)
第二順位も
いない場合…

第三順位
法定相続人配偶者兄弟姉妹
法定相続分3/41/4(÷人数)

この表にないパターン(子が死亡している場合など)は別記事で深掘りしています!

遺言が無い場合、相続できるのは法定相続人のみです。

逆に言えば、それ以外の方に財産をあげたい方は、遺言が必要ということになります。

法定相続分は決まりではなく目安です。

冒頭の通り、分け方は相続人の話し合いに委ねられており、自由に決められます。

ただ、「ご自由にどうぞ」と言われても困る方のために、「一応このぐらいが目安ですよ。」とスムーズな分割を後押ししてくれるものです。

ちなみに、後述する調停などになった場合も、法定相続分が1つの目安になります。

遺言はメリット多数!

冒頭の通り、遺言より遺産分割協議での合意内容が優先します。

遺言を書いた側からすれば少し寂しいですがそうなっています。

では遺言を書く意味は無いのでしょうか? まったくそんなことはありません。

  • 本人の遺志は、遺産分割協議に大きく影響する
  • 合意ができない場合は、遺言の内容通りに分けることになる
    =調停や裁判になることを防げる(後述)
  • 遺族が財産の内容を把握できるツールにもなる
  • 生前から家族で話し合うためのきっかけになる

このように、遺言には多くのメリットがあります!

私は、遺言は遺族へのラブレターであり、成人したらすべての人が書くべきだと思っています。

遺言については別記事で深掘りしたいと思います。

遺留分とは最低限の取り分のこと(一覧表付き)

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に法律で保証されている最低限の取り分のことです。

遺言でこれ以下しか取得できない相続人は、不足分を他の相続人に請求することができます。

請求されなければ、それで成立。

請求されれば、原則その分の金額を渡さなければいけません。

第一順位法定相続人配偶者子のみの場合
遺留分1/41/4(÷人数)1/2(÷人数)
第一順位が
いない場合…

第二順位
法定相続人配偶者親のみの場合
遺留分1/31/6(÷人数)1/3(÷人数)
第二順位も
いない場合…

第三順位
法定相続人配偶者兄弟姉妹兄弟姉妹のみ
の場合
遺留分1/2なしなし

例えば、「親孝行な長女にすべての財産を渡し、長年連絡もしてこない長男には何も渡さない。」という遺言があった場合に、遺留分が問題になります。

長男が請求しなければOKですが、これは完全に長男の気持ちしだいです。

長男自身には請求する気が無かったのに、お嫁さんや知人などがその気にさせ、トラブルになるケースも本当に多いです。

お嫁さんの常套句は、「あなたはよくても子供がかわいそう!」です。

兄弟同士では話がついていたのに、仲の良かった兄弟が周りの横ヤリによって揉めてしまう。

残念ながら相続には、お金や介護のことなどが絡み、感情的になってしまいやすい一面があります。

大切なのは、遺言を作る段階で、遺留分を前提に、できるだけモメる要素を排除した遺言にすることです。

「長女にすべて渡したいんだ!」というお気持ちは分かりますが、結果的にモメた上に長女が長男に遺留分を渡すことになれば意味がありません。

遺留分でモメないようにする対策については別記事をアップ予定です。

話し合いで決まらないときは裁判所で決める

遺言が無く、遺産分割協議でも揉めてしまい決まらない場合は、裁判所で調停を行うことになります。

揉めている人それぞれが弁護士を立てるのが通常です。

調停委員の方(弁護士、司法書士などの専門職)が中立の立場でお互いの意見を聞き、仲介しながら落としどころを話し合うものです。

月1回ぐらいのペースで開かれ、1年ほどはかかると思っていた方がいいでしょう。

調停でも決まらなければ、自動的に審判という手続きに移ります。

家庭裁判所で行われる裁判を審判というので、意味合いは裁判と同じと思っていただいて結構です。

したがって、調停とは違い、「こういう風に分けなさい」という裁判官の判断を言い渡されます。

もし審判に不服があり、2週間以内に抗告すると、次は高等裁判所での裁判となります。

以上のように、調停→審判→裁判という流れですが、数年がかりの時間と多額の費用がかかることを覚悟しなければいけません。

しかも希望通りの結果になるとは限りません。

損得で考えれば損の方が大きい気がしますが、それだけでは語れないのが相続です。

遺産分割の場面で相続人が重視するのは、損得よりも納得です。

納得できない決断をすれば一生後悔するでしょうから、気持ちは分かります。

ただ、調停が終わってから「やっぱりやらなければよかった。」となる場合もあるので、本当に難しい問題です。

上の「遺言がある場合」に書いた通り、遺言があれば調停にならず、遺言通りに分けることになります。

ただ、遺言があっても、内容しだいでは結局納得できない分割を強いられる方が出てしまいます。

遺言を書いた上で、相続人にも事前に言っておくことが本当に大切です。

遺言のチカラ、お分かりいただけたでしょうか?

相続トラブル(争族)は他人事ではない!

相続で遺族が争うことを、争族(あらそうぞく)と言われています。

まず、争族になるかどうかに財産の金額は無関係という裁判所のデータが出ています。

裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち、1,000万円以下が34%、1,000〜5,000万円以下が43%ということで、5,000万円以下で8割弱を占めます。(2019年)

一般家庭で老後の貯金と自宅の土地建物しかなくても、1,000万円超えは普通です。

「ずっと自分が介護してきたのに、均等に分けようという話になっており、誰も考慮してくれない。」

「管理が大変で誰も欲しがらない不動産を、近くに住んでいるというだけで押し付けられそう。」

「自分は県外なので手続きは兄弟に任せているが、説明もなく印鑑だけ要求された。」

人によって理由は様々ですが、誰にでも起こりうることです。

争族対策も大事な終活の1つです。

争族対策の別記事もアップ予定です。

まとめ

以上、遺産分割についての解説でした!

  • 相続できる人は法律で決まっている!
    それ以外の人へあげたい場合は遺言が必要。
  • 分け方は自由!法律では目安だけ決められている。
  • 遺言にも法的な効力はあるが、相続人全員が合意すれば違う分け方ができる!
  • 遺言を作るときは、遺留分や争族に注意した上で、関係者と話し合っておくことが大切!

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